一生歩ける体になるための筋肉づくり「たんぱく質は朝食で摂るのが効果的」と識者 手軽に摂取できる商品も紹介!

 体をつくる重要な栄養素の「たんぱく質」。不足すると、必要な筋肉の維持が困難になるのをはじめ、内臓や血管、骨、免疫力、メンタルなどさまざまな不調の原因になる。

 何才になっても自分の足で歩き、健康に過ごすためには筋肉の量を増やし、維持していくためには、たんぱく質をどのように摂るのが効果的なのだろうか。

教えてくれた人

■藤田聡さん/立命館大学スポーツ健康科学部教授。運動と栄養摂取によるたんぱく質代謝を若年者と高齢者で比較し、筋たんぱく合成と分解のメカニズムの研究を進めている。著書に『たんぱく質をとって一生健康!』(宝島社)など。

筋肉量は運動不足だけでなく加齢でも減少

 私たちの筋肉量は、20才頃までは特別な運動をしなくても増えていくが、30才を過ぎると減少し始め、40才からは10年ごとに約8~10%、70代になると10年で15%減少するといわれている(下グラフ参照)。立命館大学スポーツ健康科学部教授の藤田聡さんが話す。

「これは、体を動かすなどの運動量が減ったことだけに起因するものではなく、加齢による自然現象が大きく影響します。たんぱく質の摂取量と筋肉合成率を調べた研究では、18~39才の若年層と同じ量の筋肉を70才以上の高齢者が作るためには、約1.7倍のたんぱく質摂取が必要だとわかりました」

 このほか、シニアの筋肉が作られにくくなる原因には、筋肉にアミノ酸を届けるインスリンの働きの低下や、筋肉を合成するロイシンに対する感受性の低下が挙げられる。

 筋肉には糖を貯蔵する役割もあるため、筋肉が減るとためきれなくなった糖が体脂肪となり、体重が増えていく。加齢とともに太りやすくなるのは、代謝と筋肉量が減少するからだ。

朝食でのたんぱく質は筋肉になりやすい

「一般的に1食あたり20~30gのたんぱく質の摂取が目標ですが、女性は更年期前後から代謝が落ちて筋肉や骨が作られにくくなるため、たんぱく質の摂取は重要です。特に朝食は簡単に済ませる人も多く、たんぱく質が不足しがち。夕食後から朝食までの睡眠時は、たんぱく質の補給ができないので、筋肉の分解が進んでしまいます。朝にしっかりたんぱく質を摂って体内時計を動かし、筋肉を作るスイッチを入れること。それが一日を元気に過ごすためにも、筋力の維持のためにも大切です」(藤田さん・以下同)

 国立長寿医療研究センターが発表した論文に、朝食で質の高いたんぱく質を摂ったグループは、質の低いたんぱく質を摂ったグループに比べ、筋力低下のリスクが半分だったという報告がある。

「朝食でたんぱく質を摂ることは、筋力維持のカギ。それに加え、昼食と夕食でも、動物性と植物性のたんぱく質“1対1の割合”を目安に、バランスよく摂ること。筋肉を増やすには、たんぱく質の摂取と運動を合わせて行うのがベストですが、運動の前後で摂取しても問題ありません」

豊富なたんぱく質を手軽に摂る!

 運動後のたんぱく質摂取といえば、プロテインドリンクを飲むイメージが強いが、スーパーやコンビニなどでもたんぱく質の含有量を明示した商品が続々登場している。

■牛乳の1.4倍のたんぱく質と2倍のカルシウムを配合。

■カルシウムとビタミンDも摂れる!!

■1本で植物性たんぱく質が10g摂れる。天日干しの切り干し大根が入った、おかず系。

■鶏肉がメインで、1個あたり4.2gのたんぱく質入り。 

■プロテインが豊富なギリシャヨーグルト。

■低脂肪のミルクパウダー。

■消化のいい魚由来のたんぱく質6.1g入り。

■スナック菓子なのに1袋でたんぱく質20gも摂れる。

取材・文/山下和恵

※女性セブン2024年4月4日号

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