日本の「和定食」は最強…!デキる人はやっている、体調不良の悪循環を断ち切る「朝食」の極意

何となく体がダルいと、仕事を始めるのが億劫だったり、今日はパフォーマンスが上がらないなあとため息をついたり。その悪循環を断ち切る効率的な方法のひとつが「食べ方」の改善だ。食べるのは二の次で仕事に没頭するあまり、突然の体調不良におそわれ、仕事も絶不調に陥ったとき、復調のきっかけになったのは食事法の改善だった。その壮絶な体験をもとに、プロの編集目線で健康本を分析した国府田淳氏の著書『健康本200冊を読み倒し、自身で人体実験してわかった 食事法の最適解』から、一日中体調が整う「食べ方」4つのコツをご紹介しよう。

1 1日のパフォーマンスを上げる朝食の摂り方は?

朝は食べるべき? 食べないほうが良い?

朝食を食べないほうが良いという意見は、「ヨーロッパでは18世紀まで、日本でも江戸時代中頃までは1日2食だった。現代人は食べ過ぎている」「午前中は排出の時間なので、何も食べないほうが良い」「人間は消化に18時間ほどかかるので、朝を抜いて空っぽにしてから食べるべきだ」「朝食の消化に力を使うので、体のパフォーマンスが悪くなる」などというものがあげられます。

一方、朝食を食べたほうが良いという意見は、「腸を休ませると、かえって動きが悪くなるので、朝も食べて腸を動かしたほうが良い」「実は腸まで空っぽにするには30時間もかかるので、朝食を抜いたところで意味がない」「朝食を抜くと、昼食を食べる際に血糖値が急激に上がってしまうため、良くない」などというものです。朝食を毎日食べない人は、脳梗塞のリスクが高いという研究結果もあります。

判断が難しいところですが、さまざまな説を検証した結果、私は朝食を食べる日と、朝食を抜いてデトックスする日のハイブリッドが良いのではないかと考えています。なんとなく体が重いときは抜き、調子の良いときは食べるという感じです。私は食べないことのほうが多いのですが、血糖値スパイクを防ぐため、また食が細くて夜に空腹で寝られなくなることもあったため、食べる日も設けています。自分の体調を見ながら、朝食を摂る日と摂らない日を考えるというスタイルです。

軽めの和定食がベスト

次は、朝食に何を食べるか。結論からいうと、朝食に摂るのは和定食か、栄養価の高い食材の一品、もしくはサラダや果物のみで軽く済ますのがオススメです。

欧米式のブレックファストには、加工食品のベーコンやハム、グルテンや糖質の多いパンやシリアル、グラノラ、カゼインたんぱく質を多く含む牛乳など、体に悪いとされるものが多く含まれています。もし食べるなら、ベーコンやハムを無添加のものに、パンやシリアル、グラノラを砂糖不使用で全粒粉やグルテンフリーのものに、牛乳を豆乳やアーモンドミルクにする、などを検討する必要があります。

和定食は、ご飯、野菜や海藻入りの味噌汁、魚か納豆などたんぱく質のものを少し。朝食には、これくらいの軽いものが良さそうです。栄養価の高い食材の一品は、たとえば納豆にかつお節やごま、亜麻仁油、醤油を加えたものや、アボカドとブロッコリーやアスパラガスにオリーブオイルを少したらし、かつお節とぬちまーす(沖縄の海の塩。ミネラルが多い)や醤油で味付けしたものなどがオススメです。納豆は中庸ですが、やや陰性に近く、オイルやアボカドは陰性なので、陽性のかつお節を加えるとバランスが良く、うま味も加えられて満足感も高くなります。

これらは、たいして料理ができない私でも素早く用意できますし、量も少ないので、午前中のパフォーマンスが落ちることもありません。あとは、どんぶり1杯のサラダや、ときにはバナナやキウイなどの果物だけという日を設けて、体の調子を見てみましょう。前述したように、ナチュラルハイジーンというスタイルでは、午前中は果物と野菜のみにすることを提唱しています。

朝は野菜ジュースやフルーツジュースだけという方も多いですが、これらはあくまで飲み物ですし、体を冷やしがちなため、多用しないほうが良いでしょう。また、栄養補助食品のゼリー飲料で済ませてしまう方もいるかと思いますが、糖分が多いため血糖値が急激に上がりますし、何より添加物がたくさん入っていますので、NGです。コーヒーにマフィンというよくあるパターンも、カフェインと糖質、グルテンの摂取になりますから、あまりオススメできません。ハンバーガー店か牛丼店であれば、迷わず牛丼店の朝の和定食メニューを選びましょう。

コーヒー、野菜ジュース、ゼリー飲料より白湯を

起床後の体に入れる飲み物にも注目してみましょう。朝起きたら、「まずはコーヒーを1杯」という方も多いと思いますが、「まずは白湯を1杯」に変えてみてはいかがでしょうか。白湯は体を温め、免疫力のアップ、便秘解消、ダイエット、美肌など、さまざまな効果があります。私も実際に毎日飲んでいますが、寝ている間に下がっていた体温が上がり、ぽかぽかしてくるのを実感できます。カフェインのように急激にシャキッとするのではなく、ゆったりと徐々に目覚めていくので、体や脳への負担も少なく、体調も整いやすくなります。

白湯は水を沸騰させた後、冷まさないといけませんが、時間がないときは沸騰したお湯に水を足して、ぬるま湯にして飲んでいます。それでも効果を実感しています。簡単でコストもかかりませんから、オススメですよ。

2 コンビニでもパフォーマンスを保てる定食セット

基本的にコンビニに行くことはオススメしませんが、そうはいっても、多くの方が頻繁に活用されていることでしょう。そこで、コンビニでもパフォーマンスを保てる定食セットを考えてみました。炭水化物、たんぱく質、ビタミンや食物繊維が摂れ、おおむね無添加、さらにデザートも付いて850円という、豪華セットメニューです。

<1> 塩おにぎりか、レトルトのご飯(約100円)

塩おにぎりは添加物が少ないので、比較的安全です(一部に植物油脂が入ります)。レトルトご飯は、意外なことに無添加です。ただ、加工食品ですし、マイクロ波の安全性に確証のないレンジを使うという意味ではパーフェクトではありませんので、あくまで非常時と考えたほうが良いでしょう。

<2> サバ、サンマ、イワシの缶詰(約100円)

缶詰なら、鮮度の落ちやすい青魚も新鮮なうちに缶に詰めて密封し、加熱殺菌しているので酸化せず、栄養価も高いまま保たれています。無添加の品も多く、オススメです。

<3> 納豆(約50円)

品質の高いものは少ないのですが、無添加です。タレとからしに添加物が入っていることが多いので、家にある醤油を使ったほうが安全です。

<4> カット野菜(約200円)

添加物はありませんが、消毒されているのでパーフェクトとはいえません。でも野菜はなんとか摂れるので、ほかの揚げ物などより良いでしょう。ただし、ドレッシングは家にある安全性の高いものか、オリーブオイルと塩、バルサミコ酢などで食べましょう。

<5> ゆでたまご(約150円)

無添加です。ちなみに、温泉卵はタレに添加物がたくさん使われています。

<6> 冷やしぜんざい(約250円)

グラニュー糖のみで、添加物は入っていません。

これに加えて味噌汁……といきたいところですが、フリーズドライのお味噌汁には、調味料(アミノ酸等)などの添加物が含まれていますので、オススメできません。それでも、なかなか満足感の高い定食セットになったのではないでしょうか。

コンビニで間食を買う場合は、バナナか素焼きのナッツ、カゴメの野菜ジュース「野菜1日これ1本」、森永の「マクロビ派ビスケット」、ウォーカー(Walkers)の「ショートブレッド」シリーズ、惣菜のじゃがバターやコーン、水、炭酸水などを選ぶと、添加物が入っておらず、比較的安全です。

3 我慢を充実感に変える食事の作法

少食が人生を好転させる

ランチを食べたら眠くなってしまい、午後の仕事に集中できないという方も多いのではないでしょうか。人は満腹中枢が満たされ、血糖値が上がると体の反応が低下し、眠くなります。野生動物は空腹時には生き残るために覚醒状態になって獲物を捕らえますが、満腹になると動きが鈍くなるというメカニズムを想像すると、わかりやすいでしょう。

眠気を防ぐためには、食事量を少なく保つことが重要です。当たり前の話だと思われるかもしれませんが、実際にはストレス解消のためにたくさん食べてしまう方や、時間がないために、量を気にせずかき込むように食べている方が多いように見受けられます。

食事をすると、ドーパミンなどの報酬系の脳内物質が放出されるため、もっと食べたいという作用が働き、ついつい食べ過ぎてしまいます。生理的な欲求なので、コントロールするのが非常に難しいのです。そこで、ただ我慢して量を減らすのではなく、「少食が人生を好転させる」ことを念頭におきながら取り組んでいくと、我慢ではなく充実感に変わります。

江戸時代の観相家の大家、水野南北の言葉に、「人の運は食にあり」というものがあります。少食にすれば腸相が良くなり、腸相が良くなれば人相が良くなり、人相が良くなれば運命が好転する。少食こそが人の運命を好転させる、という考え方です。「腹八分目に医者いらず」というのも皆さんご存じの通りですし、それに続けて「腹六分目は老いを忘れる」「腹四分目で神に近づく」ということわざもあるほど、少食は昔から健康効果が高いとされてきました。健康食関連の本でも、高い確率でこの話は出てきます。大盛りを我慢するだけで人生が好転するなら、こんなに簡単なことはありませんよね。

ただし、カロリーを制限することによって健康効果が高まるかどうかについては、アメリカの研究機関が行なった動物実験では明らかになっていますが、人の場合は明らかになっていません。ある程度の疾患予防効果は出ているものの、骨が弱くなったり、血糖処理能力が低下したりするなどのマイナス面の可能性も示唆されていますので、極端なカロリー制限は控えてください。

半断食や1日1食の日を設ける

少食を実践するためのきっかけとしては断食があります。普段の食生活では自己抑制が難しい中、強制的に一定期間食べないことで、少食にしていくきっかけになります。実際に頭が冴え渡り、体が軽くなることを体感できるからです。数日間のファスティング合宿など本格的なプログラムもありますが、簡単ですぐに試せるのは、朝を抜く半断食や、1日1食の日を設けるという方法です。血糖値の問題や、腸の働きについて時間を空けたほうが良い、休ませたほうが良いという議論などもありますが、一度試してみる価値はあります。

断食には、食べ過ぎによる体内の過剰な栄養素を取り除き、人間が本来持っている能力を最大限に戻すという効果があるといいます。食事を抜くことで、体が自分の細胞や組織の一部をエネルギーに変えて利用するので、余分な脂肪などが使われ、体もすっきりします。それによって、免疫力が上がり、風邪を引きにくくなったり、各種疾患の予防にもつながったりします。風邪などを引いた際も、栄養価の高いものを食べるより、断食するほうが内臓は休まり、自然治癒力も高まるので、治りやすくなります。

そのほかにも「頭が冴える」「疲れにくくなり、睡眠時間が短くなる」「若返る」「痩せる」「食費を節約できる」「精力や妊娠力が高まる」「長寿遺伝子が機能する」「各種疾患の予防が期待できる」など、さまざまな効果があると断食肯定派は主張しています。

ちなみに、食べない健康法は昔から存在していたようで、16世紀のイタリアで102歳まで生きたルイジ・コルナロという人物が『無病法』という本にその極意をまとめています。当時からベストセラーでしたが、今でも長寿健康法のバイブルとして知られています。

最後に、1日1食を実践している人をあげておきましょう。ビートたけしやタモリ、オバマ前大統領、ビル・ゲイツから千利休、ミケランジェロ、アインシュタインなどの歴史的偉人まで、世代や国を問わず存在しています。

4 スイーツは買い置きすれば食べ過ぎない

甘いものは「やめる」と決めるより、質の良いものを買い溜めしておくのがコツです。やめようと思って買わずに我慢していると、必ず衝動に耐え切れなくなって、コンビニに走ってしまいます。私も最初はお菓子類を全部捨てて頑張ってみましたが、ストレスが溜まったときにどうしても甘いものが欲しくなり、夜のコンビニに駆け込んだ経験があります。買い溜めしておくのは主に無添加のお菓子で、甘みの少ないものがオススメです。自然・オーガニック商品が揃うECサイト、iHerbなどのネットやビオセボン、ナチュラルローソン、イオン、成城石井などで購入しています。

無添加であるほかに、甘いものについて気にかけるポイントは、精製された砂糖を使っていないという点です。てんさい糖やきび砂糖、黒糖、メイプルシロップ、アガべシロップ、ココナッツシュガー、天然のはちみつ、ラカント(羅漢果という植物)、有機砂糖(オーガニックで高度な精製を行っていない)、オリゴ糖などを使ったものを選ぶと良いでしょう。

また、ジュース類ですが、全般的に砂糖と添加物でできているので良くありません。私はサイダーがどうしても飲みたくなることがあり、量を半分にすることから始めました。そこから野菜系のジュース、炭酸水へと切り替えていき、いつしか飲みたくなることはなくなりました。今では自動販売機で缶ジュースを買うことはありません。近年、スーパーやコンビニでもよく見かける無糖の炭酸水は、お酒や甘いものの代わりとして機能しやすいという声をよく聞きます。

甘いものをやめるのは本当に大変で、いかに現代人が砂糖漬けにされているかがよくわかります。この時代、それを完全に抜くのは不可能なのかもしれません。そう考えると、きっぱりやめることを目指すより、いかに体に悪い影響が出ない程度にとどめるかに焦点を当てたほうが、精神衛生上は良いのではないでしょうか。ゆっくり時間をかけて、甘いものを欲しない体に仕上げていきましょう。(「飲み方」にもコツがある! 次回につづく)

2023-12-02T21:04:36Z dg43tfdfdgfd